細田じょい「国が主導で国際交流を活発に!」

20歳・大学生
細田じょい

2012 年に国際基督教大学入学。小学生のときに約1年半、台湾のアメリカンスクールに通い英語と中国語を習得。高校1年生ではアメリカ、大1年生ではイギリスに短期留学し、2014 年 9 月からもロンドン大学 SOAS 校に1年間交換留学予定。SOASではアフリカの研究を行い、同時にアラビア語も学習予定。趣味は映画や舞台の鑑賞で、自身も舞台の脚本、演出、出演を務めた経験がある。


Opinion#1 : 私の興味分野✕政治「国が主導で国際交流を活発に」
Opinion#2 : 若者の政治参加「関心がないというより、行動に移せていないだけ」


細田さんが関心にある政治に関わる問題は何ですか?
就活のスタートは遅くなったものの、やはり行きづらい“海外留学”




私が、今一番関心があるのは、留学についてです。自分が留学してきた立場、これからする立場として、日本の留学制度は若者が留学に行きづらい環境だということが問題だと感じています。
確かに以前より留学の制度が増えましたし、推進するような政策がつくられているのはわかります。現に私たちの代から就活が4年生の4月スタートになりますよね。就活解禁が遅くなった理由のひとつは留学しやすくするためですし、政策としても考えられているのはわかります。でも、それにしても行きづらいのが現状です。結局、私も就活に支障が出て、留学中に就活を始めなければなりません。私はそれを覚悟で留学に行きますが、就活に遅れることを恐れて留学に行くのを辞めた学生は多いと思います。

細田さんは就活と留学が重なることに関して不安に思っていることはありますか?
あります。海外でもボストンキャリアフォーラム、ロンドンキャリアフォーラムなど留学生が就活を行う機会はあるのですが、それって海外に住んでいる日本人向けなんですよね。だから特定の人に内定が集中するっていうケースがあったりするみたいです。もしそこで内定をもらえなかったら、異国の地でショックを受けて、日本に帰ってからも時間がなくて、相当焦ってしまうということになるんですよね。

ではなぜ日本の学生が留学に行く必要があると考えているのですか?
勉強や研究、議論をする上では、今の日本で学べるレベルの英語じゃ足りない
日本の若者はグローバルな世の中について行けていないと感じるからです。日本の教育は講義ばっかりで、ディベートをしてもすごく消極的です。もちろんみんな授業中は素直で良い子ですが、議論すべきことは授業を止めてでも議論するくらいの意欲を見せないといけないと思うんです。だからちゃんと海外で勉強することで、speaking, writing, reading, listening の4つが習得できると思います。イギリスに行くときにIELTSの試験でも、4つの分野で7以上取らないと審査を通ることもできないですし。ただのおしゃべりができるだけじゃなくて、勉強や研究、議論をする上では、今の日本で学べるレベルの英語では足りないと思います。



日本人らしさを大切にしながら、深い批評ができ、
真剣に議論ができる人が増えてほしい
ではどうすれば日本の学生も積極的に議論をできるようになると思いますか?
日本の学生は英語で討論する訓練が足りないと思います。小さいころからみんなが同じように講義を受けているだけですから。私は大学で、英語で開講される授業を多く取っていて、クラス内に留学生もたくさんいるのですが、授業中、積極的に質問している留学生を見ていると、育ってきた環境が違うんだなあと実感します。もちろん、日本人でもちゃんと議論ができている人もいます。
討論を取り入れた授業を、大学で始めるわけではなくて、小さいころからやる
でも、全体的に見ると議論ができる日本人は少ないので、もっと深い批評ができ、真剣に議論ができる人が増えてくればいいと思います。日本人らしさを大切にしながら、グローバルな社会について行くためには、議論をたくさん行うような海外的な教育を増やして行く必要がありますよね。大学で突然始めるのではなくて、小さいころからやることで抵抗がなくなると思います。最近は議論を重視する教育にも注目が集まって、良い方向に向っていると思いますけどね。
9 月入学を増やすことにはすごく賛成
日本の教育制度をどのように変えて行くべきだと思いますか?
日本をグローバルスタンダードに変えて行くべきだと思う。東京大学でやるかもしれないと一時期話題になったと思いますが、日本は9月入学をやっている大学が少ないです。全部が4月始まりで海外と違うから、就活だって遅れてしまう。もちろん桜の時期に入学を迎える日本の伝統を変えろとは言いません。ただ、9月入学を増やすことにはすごく賛成です。そうすれば企業も9月入社を増やして行くと思うんです。そうすれば就活の心配をせずに日本から留学にも行きやすいし、逆に外国人留学生も日本で働きやすいと思います。グローバルスタンダードに合わせることができれば、もっと世界に追いつける。そして外国と相互に行き来できるのが理想的ですね。



大学と同時に企業が9月入社を増やして行かないと
政府は日本の学生が海外に行きやすくするために、どんな政策をとれば良いと思いますか?
政府は東大に9月入学を呼びかけて、東大がやれば他の大学も後に続くと考えたみたいなんですよね。その時、メディアで話題になって、9月入学のブームが来たと思ったんですけど、結局東大も9月入学を見送ることになったんですよ。これで終わっては意味がないので、もっと色んな大学に政府が呼びかけをしてほしいです。
それに、大学だけが変わるのでは社会全体の流れは変わりません。同時に企業が9月入社を増やしていかないといけません。
どうやって促していくのが効果的だと思いますか?
政府主導で9月入学を取り入れればいいのではないでしょうか。まずは9月入学を取り入れる大学に、その準備のための助成金を出すとか。経済的にどんなネックがあるのかはよくわからないけれど、資金面で助けることでいくつかの大学が動き始めれば、他の大学も後に続きやすいと思います。もちろん同時に企業にも促して行く必要もあります。
あとは政府が主導で、9月入社を取り入れればいいと思います。公務員の入庁を4月と9月の2回に分けたり、国家試験も年に2回受けられるようにしたり。そうすれば他の企業も9月始まりを意識し出すと思います。
国が主導で、国際交流を深めて、
学生の行き来がしやすい仕組みづくりを行っていってほしい
それに、外交として、もっと外国への学生の行き来について話し合ってほしいです。アメリカではオバマ大統領が日本の大学生を留学生としてアメリカに受け入れようと取り組んでいるみたいなんですよね。でも日米は仲が良いからできているけど、他のヨーロッパや小さな国だと、国と国の外交的な関係も薄いですよね。それだと大学の提携もしにくい環境にあるのではないでしょうか。だから国が主導で、国際交流を深めて、学生の行き来がしやすい仕組みづくりを行っていってほしいと思います。



今の若者は、政治に興味を持っていると思いますか?
はい。そう思います。私の特殊な環境もあると思うんですが、周りに政治に関心がある人はすごくたくさんいます。だから自分が知らなすぎてやばい、と思うくらいです。この前の都知事選の直前、私のFacebookのタイムラインはめっちゃ荒れていました。政治的な話が飛び交っていたんです。不特定多数の人に政治に関することを発信できる自信と知識がある。それが正しい意見かどうかは別として、やはり関心が強いと感じます。それにコメントから議論が広がっているのを見ても、周り多くの人が政治に関心を持っているのがわかります。大学でも特定秘密保護法案の問題のときに学生集会が実施されました。一人が行動に移すことによって、多くの人が動けるんだから、興味や関心が強い人が私の周囲には多いんだと思います。
政治に関して関心がない理由は何だと思いますか?
関心がないというより、単に行動に移せていない。ネット上で動いてみては?
関心がないというより、単に行動に移せていないから、関心がないとみなされている人が多いと思います。例えば先日、BlackMondayという、中国系マレー人がFacebookのアイコンをみんなで一斉に真っ黒にするデモみたいなことをしたんですよ。もし日本人だったら、ここまで協力して行動することができなかった気がします。確かにデモを起こすのはハードルが高いかもしれませんが、BlackMonday みたいにネット上で動くのなら捕まることもないだろうから、いいと思いますね。日本は、尾崎豊さんの歌のように大胆に自己主張するのがカッコイイっていう時代は終わったんですかね。(笑)


○○ができない人のために○○をするという考え方を政治にも当てはめて、
他国のためにもなる政治を考えていってほしい
現代の日本政治を、どのように感じていますか?
日本はちゃんと政府があって、国家が成立している状態っていうのはすごくいい環境だと思います。なのに、小さな問題をたくさん抱えて行き詰まっていますよね。でも、世界を見ていると、まだまだ政治的に発展していない国がたくさんあるんだから、その国のことを見て、その人たちのためになる政策を考えていってあげるべきだと思います。中学校の校長先生が卒業式で“勉強ができない人のために勉強をしなさい”とおっしゃったのですが、それが私のモットーになっています。世界には勉強をしたくてもできない人がたくさんいる中で、私たちは勉強ができる恵まれた環境にいるのだから、勉強ができない人のためになるように勉強をしたいです。だから私は勉強をする義務、責任があると思っているんです。そしてそれは、仕事や政治にも置き換えられると思います。○○ができない人のために○○をするという考え方を政治にも当てはめて、他国のためにもなる政治を考えていってほしいです。
今若者に必要な政策とは何だと思いますか?
子どもの英語教育に力を入れて行く必要がある
若者が将来に希望を持てる国づくりを、今からしていってほしいです。今の社会だと、日本で生きていて良かったと思える将来が想像できないんですよね。だから、私は海外に行きたいと思ってしまいます。その中でもやっぱり力を入れてほしいのは英語教育です。日本人の学力は、数学や読解は高くても、TOEICやTOEFLの点が著しく低いです。だから、小さい頃からもっと英語教育に力を入れていくべきだと思います。ディベートには英語能も必要だと思うので、大学からではなく、小さいときから授業で鍛えてほしいですね。今の子ども達が育って日本を支える世代になったときに、もう世界はみんな英語がスタンダードになっているかもしれません。そのときに遅れをとらないためには、子どもの英語教育に力を入れて行く必要があると思います。



(執筆:相川美菜子/撮影:小島眞司)

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